2005年06月15日
「ユリイカ」6月号
特集が「ムーンライダーズ」だったので購入。近所の本屋になかったので、いつものようにAmazonにて先日注文した。
ディスコグラフィー的な内容では、数年前に出た「20世紀のムーンライダーズ」が読みやすい(ただし内容が「月面賛歌」まで)が、歌詞やモチーフ、アルバムコンセプトからの考察の仕方と過程がものすごく「ユリイカ」っぽい。
メンバーへのロングインタビューも勿論あり。ライダーズの好きな曲を抽出するといつのまにか白井良明曲になっている私にとっては、白井氏インタビューが嬉しい。以下、読んでみて感じた事を箇条書き。
・松田洋子がムーンライダーズによせて漫画を描いている。ライダーズ好きの漫画家としては、やまだないとや山本直樹が真っ先に思い浮かぶので、ちょっと意外なチョイス。80年代丸出しなハシラもたまらない。「ビックリハウサー」なんて単語は何年ぶりに見たんだろう。
松田洋子好きなので勿論嬉しかったぞ。
・「ムーンライダーズに『ジンギスカン』カバーのオファーが来ていた」というエピソードはこの本一番のサプライズだった。もしこれが通っていたら、「ムーンライダーズが売れていた」か「『ジンギスカン』が売れなかった」のどちらか(おそらく3:7で後者)だったろうし、今のムーンライダーズもなかっただろう。
・ムーンライダーズの『ジンギスカン』が実現していたとして、もしも歌詞を彼らに任せていたら…と妄想する。たぶん
僕はジンギスカン 僕を見ると娘たちは逃げてく
怖がらないで 何もしやしない
埠頭の羊たち 草をはむ
みたいな、さぞかしナイーブでニューウェーブで、いなたいエロをメタファーにこめるようなジンギスカンになっちゃってたのではなかろうか。
そしてどう考えてもやっぱり売れそうにない。
・人それぞれの「一番好きなライダーズのアルバム」は、「その人が最初に聞いたアルバム」である場合が多い…という文が、自分にもズバリ当てはまっていて驚いた。
私がライダーズの音をきっちり聴いたのは、亡き玄機先輩の部屋で、バカ話とか落書きをしながら、流れてきた「ムーンライダーズの夜」と「アニマル・インデックス」が最初だった。確かに今でもこれがベストの1・2だ。
・「10代にムーンライダーズを聞かせる」という企画……つ、辛すぎて痛い……。「10代に尾崎を聴かせる」企画の続編だそうだが、性格がまるっきり違うような気もする。
私にとってライダーズは、「ひねた人間にシンクロする、ひねた人間によるひねた音楽(+歌詞)」で、時代ごとの雰囲気なんかもご馳走のうちで、あんまり普遍性豊富でないのがいいと思ってるので…
個人的には、70年代とは言わないが80年代を空気だけでも通過していないと、なかなか味が伝わりづらい音楽(むしろ存在)かなと思う。
・メンバー直筆のメモや譜面のページ。白井良明の譜面がめちゃくちゃ面白い。ドラムのパートに「たっこんたこっこ」とだけ書いてあったり、「ここはリンゴ・スターっぽい音とフィルインが欲しい」という場所に「リンゴスタ~」「いけリンゴ」とか。楽しすぎ。
んー、それにしても、音楽雑誌とか、まして「クイックジャパン」系の本でもなく、よりにもよって「ユリイカ」っていうのがいかにもライダーズ。そのうち白井さんなんか、ギタギドラ持って「暮らしの手帖」あたりに出るんじゃあるまいか。