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2005年05月01日

金(より大事なもの)カエセヨー

鶴岡に、鈴井貴之氏の第3回監督作品「銀のエンゼル」上映会を観にいく。
前作「man-hole」「river」は、山形での上映はなかった。特に庄内は単館系のものには恵まれないので、「鈴井さんの映画はDVDで見る」しか手段がなかったので、今回1日(午前午後各1回)だけとはいえ、ホール上映が決まったのはとても嬉しかった。
相方も時間を確保してチケットを取り、グッズ販売もあるというので早めに会場へ。

客の入りは7分くらいか。中央の見やすい席をキープ。
映画はDVDやTV・BSで見ることが多いので、実は相方と映画デートするのは、長い付き合いだが今日が初めてだったりする。

結論から言うと、何が酷いって、画像があまりにひどかった。
冒頭部から、フォーカスが甘い。しかしそれでも最初のうちは、フィルムの味付け(あえてざらついた画面に作っているのか)かと思えなくもなかったが、中盤あたりからひどくなってきた。さすがに不自然、というよりも、「自分の目が突如どうにかなったのでは」とすら思えるほどだった。
普通は、「何かトラブルがあったら映写室のほうで調整してくれる」だろうと思うし、1回きり完全入れ替えの上映で、クレーム入れに外に出ようという気にもならない。時間が経つにつれ「いくら何でもオカシイ」という気分が強まる。
結局ストーリーは進むが画質は最悪(ボケボケ)のまま。
スタッフロールの文字もボヤボヤ。

と、突如、画面に

「レンズフォーカス調整」

という文字(明らかにメニュー操作状態)が出現。
数秒操作があって、ここで初めて調整がなされたあげく、いきなり画像が鮮明に。
いや、鮮明というか、これが普通なのだけども。
これまでの全編、本来ならこんなにクリアに見えてたのか!金と時間を返せ!
という気分で、怒りが込み上げるより先にもう萎え萎え。

いい年をして若者っぽい言葉を使うのも気が引けるが、こんなに「ありえない」という言葉がしっくりくる状況は前代未聞だ。

あのなー、しがないPC講師の私ですら、講座がはじまる前にディスプレイの調整(フォーカスや大きさ、色合いなど)はちゃんと終わらせておくぞ。
映写室の中に入ったことがないのでよく分からないのだが、上映中は映像やフィルムが乱れたりする事を想定してずっとその場にいてチェックしているものではないんだろうか。寝てたのか。
会場は鶴岡市中央公民館、主宰はYTS。実際に映写に当たっていたのがどちらのスタッフかは分からないが、主催者側が一人でも中に入ってチェックに当たっていれば、もっと早い段階で連絡して調整させることができたんじゃないだろうか。金取ってやる仕事の内容とは思えない。
「DVDではなく、スクリーンで見れる」のを楽しみにして足を運んだのに、お粗末な映写が気になって映画に没入できなかった。
それよりも何よりも、鈴井監督はじめ、寒い中心血を注いでこの作品を作り上げたスタッフ・出演者を冒涜したのと同じことだ。映画を作ろうという人間が、一つ一つの映像に心を砕いてない筈はない。ボケた状態で90%以上を上映されたのを知ったら、さぞ悲しいことだろう。最低にも程がある。そんな体験だった。
流石に「金返せ」と言うクレーマーにまではなりたくないが、出口のスタッフに相方が「映像が酷かったですよ」と言ったところ、「すみませんでした」と言ってはくれたが、そういう事実があったことは知らなかった模様。それもどうかと。
流石に13:30の部では同じことは繰り返さないだろうと思いたいが…
5/3には山形で上映会があるのだが、そちらのほうもつつがなく上映されますように…

あまりに酷いことで、怒りというより失望が収まらず、YTSのサイトからメールで問い合わせしようと思ったのだが、アドレスは一応書いているものの、
「メールには返信しません、返事が欲しい人は電話で」
とか書いてるし…何なんだそりゃ…

ところで、会場ではグッズ販売もあった。
開場前に並んでいたところに、あらかじめ販売グッズリスト兼購入希望書を配布し、記入したものを係に渡して会計・グッズ受け取り(混雑防止のためらしい)という方法。
パンフとどうでしょうステッカー、「CUEジャンボリー2004」DVDなどを買う。そこそこ買ったためか「フィルムしおり」を付けてくれた。
他にはDVD・どうでしょう本も。
リストの中に「いぶし銀」とだけアイテム名が。
それだけで売るほうも買うほうも充分分かってるというのもすごいが。

水曜どうでしょう公式サイトでは、ファンは「どうでしょう藩士」、DVDやグッズを予約したり購入するのを「年貢を納める」と呼ぶ。
今回のグッズ購入も「臨時年貢の納入」だったわけだが。
相方いわく

「藩士なのに年貢取られるっていうのは、一体どういうことなんだろう…」

……確かに。

<内容について>
気分が萎えたあまり、内容について書いてなかった…
予想通り淡々とした内容ではあったが、1300円分の価値は充分にあったと思う。
「父と娘」という関係が一つの柱なのだが、鈴井さんの娘溺愛は有名なので、ちょっと時々「うちの娘が大きくなったら俺もこんな風に扱われるのかなあ」的な感傷が強めに出ていたのはどうなのだろうな、と感じたが。
「観光地イメージではない北海道の生の日常」を描くということについては成功しているかと。電柱や電線をあえてフレームに入れたというパンフ記事を読むと、それもなるほどと思う。
コンビニが一つだけの田舎の町、という風景はどこにでも置き換えが可能で、共感できると同時に、風景や空の広がり・雪や寒気の表現など、隅々に北海道らしさがある。そういうところにこだわっているだろうからこそ、普通の画面で見たかったんだチクショー。
出演陣はみんな良かったが、特に村上ショージが◎。出番は多くないがいい味出していた。

見終って思わず「コーヒーメロン」を検索してしまった人は日本中にたくさんいるだろう。私もそうした。メロンパンしかヒットしなかったけれど。

*DVD「CUEジャンボリー2004」
予想以上にヌルい内容であった…が、久々のナックスハリケーンがみれて小ネタもちらほら入っているので、まあいいか…

投稿者 zerodama : 2005年05月01日 21:01

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