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2005年06月13日

入試問題

Sankei Web 私立中入試算数 問題文に問題あり あり得ぬ設定多数

中学校の算数の入試問題についての記事だが、全体的にちょっと難癖というか、揚げ足取りに走っている気が。
確かに、「現実的に作れない」6角形の問題はどうかと思うが、そこまで「科学的に正しくない」「ありえない状況」と目くじらを立てるのもどうだろう。

というか、食塩水の問題について、
塩は百グラムの水に最大二八・二グラムしか溶けないにもかかわらず、食塩水の濃度を30%以上と設定している問題があり、中には40%以上と設定している部分もあった。」

これはおそらく、塩化ナトリウムが100℃の水に対する飽和溶解度「28.2」を元にしている記述だと思うのだが…そう、小学生でも気付く間違いだ。
濃度は「溶質/溶媒」ではなく「溶質/(溶媒+溶質)」で求められるわけだから、「100gの水に28.2gの塩化ナトリウムが溶けているから28.2%」にはなりえないので、明らかな記者の間違い(まさか記事中に出ている教授が間違えたわけではないだろう)。
この条件で飽和した時に解けている食塩の量は、
X/(X+100)=0.282
∴X≒39.3(g)
となるわけだが(28.2g溶けている場合は濃度22%)。
これが家庭に配られたか。恥ずかしい話ですな。私みたいな文系でも流石に突っ込めるんだけども。
単なる「%」と「g」の書き間違いかもしれないが、校正スタッフも誰も気付かなかったのかと。
これでは「記者たちもそれを責められない状況が生じている。」ような気がするがなあ。

まあ、通常の状況では「30%、40%の食塩水」はありえないのは確かなので、問題作成側も「とある物質(溶質)Aが」とかにしておけばよかったんだろうけど。
理数系に弱いのでえらそうな事はいえないのだが、数学って抽象概念を相手にするのがメインだと思うので、こういう揚げ足とりを細かくやるのもどうなんだろ、と思う。

問題文をもっと明確にし、分かりづらい表現を排除すべきと言う主張には賛成。

例えば、Web記事には取り上げられていないが、紙面にはこういう問題もあった。

<問題>
5人で釣りに行き、一番多く釣った人は22匹で、一番少なかった人は10匹だった。
5人が釣った魚の平均はどれか。

<選択肢>
A:26.2匹
B:22.0匹
C:20.8匹
D:16.6匹(正解)
E:12.4匹

これについての

正解は13匹から19匹までの間であり、これだけでは小数点以下までは特定できない

というツッコミも難癖くさいと思う(その範囲の選択肢が一つしかないわけだから)のだが、これについても「平均としてあり得る数」「平均値としてふさわしいもの」というような表現にしてあげればよりベターかな、とは思う。

これとは毛色が違うが、むしろ就職試験・公務員試験などの「判断推理」系の問題でよくある、「現実的にありえなくはないが、その状況って常識的にどうなのよ」的な設定のほうがツッコミがいがあると思う。

例えば、わりと定番の

毎分20Lを排水する水槽の栓を開き、毎分26Lで注水した場合、80L水が貯まるには何分かかるか」
    (→いいから栓をしろ、何そのムダ水。

とか、

「一日に44分進む時計がある。時刻併せをしてから10日後にこの時計を見ると、○○時××分をさしていた。このときの本当の時刻を求めよ」
     (→いいから修理に出すか新しいのを買え

とか。
まあ、「疑問を抱く前に正しい計算を行える頭の切り替え(+与えられた情況に疑問を持っても、言われた事をやれ)」こそが組織の社会人に最重要な事と言われれば、それはそうなのだろうけど。

投稿者 zerodama : 2005年06月13日 16:19

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