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2005年06月15日
実質勝訴な気もする
黒沢氏側、二審も敗訴 NHK大河ドラマ「武蔵」めぐり (朝日新聞) - goo ニュース
この判決趣旨、ほぼ同様の一審のものも正直笑ってしまったのだが
黒沢氏側は村人が侍を雇い野武士と戦うストーリーなどが「七人の侍」に似ており、「勝手にテレビドラマ化され、著作権や著作者人格権を侵害された」と主張したが、中野裁判長は「『七人の侍』は『武蔵』に比べてはるかに高い芸術性のある作品」としたうえで「いくつかの類似点が認められるものの、いずれも表現上の創作性がない部分。『七人の侍』の本質的な特徴を感じ取れず、著作権の侵害にはあたらない」と退けた。
何回読んでも、「七人の侍>>>>越えられない壁>武蔵」というお墨付きを下した上で、「クオリティ低すぎる『武蔵』だから勘弁してやって」っていう内容なんだよな。一応NHK側が勝ってはいるが、同時に法廷から「ヘタレ認定」を大々的に受けた結果になっているのだから、実質的に十分アドバンテージを得ていると思う。
私は「七人の侍」が大好きなのだが、「著作権はアイディア・シチュエーションに発生する性格のものではないので、主張するのは難しいのではないか」とも思う。「パクられるくらい燃えるシチュエーションや場面を作りえた」という考えも出来るし(事実判決文を読むと、黒澤側が主張しているのはシチュエーション類似そのものではなく、この類似を組み合わせた結果にあるとしている)、「七人の侍」を見た人間なら、小手先類似点を見て失笑するだけの話であり、「侍」の評価を揺るがす事もないのではないか。
参考:「武蔵」事件判決について
とはいえ、類似点詳細を見てみると、あからさまに名シーンの多くを劣化コピーしているだけで、「よく恥ずかしげもなく;」と見ているこっちが恥ずかしくなってくる(ただ、8とか9、10まで挙げるのは無理を感じる。10が通ったら、今後「豪雨の中での死闘」シーンを作ってはならんということになってしまうのでは。またこれも有名な話だが、5,6は「侍」オリジナルエピソードではなく、実在の剣豪の逸話をヒントにしたもの)。というかこの安易さ、「侍」ファンよりも「武蔵」ファンのほうが怒りを覚えたんじゃなかろうか。
最近、キャスティング等に疑問を感じる事が多く、大河ドラマをめっきり見なくなってしまったが、かつては欠かさず見てハマっていた。もうちょっとしっかりして再び面白いものを作って欲しいという思いはあるのだ。だから尚更、こういうみっともない露骨なパクリは、法的にどうあれやめて、昔みたいに骨太で直球にいいドラマを、と思わずにはいられない。
ところで、この一件など比較にならないひどいパクリが現在進行形なわけだが、さすがに自社内ではムリだろうけれども、どこか訴えてやってくれ。いやホントに。
投稿者 zerodama : 2005年06月15日 08:11
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