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2005年06月15日

光高校爆発物事件

asahi.com: 同級生が「いじめあった」 任意の事情聴取で証言 - 社会

事件当日の記者会見で、担任や校長が「いじめはなかった」という内容のことを話しているのを見て、調査が進まないうちに「申し訳ない」といっちゃう教育委員会もアレだが、同時に調査結果でないうちに「なかったです」と言ってしまうのもちょっと走りすぎなのではないか、と家で語り合った。結局その懸念どおりになってしまったわけだが。

背後関係を探るのは大事、またいじめの事実の把握、察知、対処が必要だった事は言うまでもない。
いじめは許してはならない事であり、教職員が全力で取り組まなければならない事項だ。
しかし、このような教室内テロもまた許されざる行為であった事に変わりはない。
報道などがどうしても「やっぱり背景にいじめ」ということをクローズアップし、お得意の「ゆがんだ教育の犠牲者」に仕立て上げる方向に走りがちなのだが、「いじめられていたから何をしても許される」訳ではない。
私は一貫して、手段や思考(気に入らない奴を傷つけるためにクラス全員を巻き込んでも構わないという感覚)から、この事件は学校内のテロであり、この生徒はテロ実行犯として扱うべき事件だと思う。
民族的な背景が9.11をはじめとする無差別テロ行為を正当化し得ないのと同様だ。
50数人の人間を傷つけた非が、本人よりも他者に重くかかることはありえないと思う。

もう一つ気になっているのは、これも例によって例のごとく、なのだが、「爆弾製造のソースをインターネットから得た」ということで、マスコミが鬼の首を取ったように「だからインターネットは危険で悪辣」というお定まりの叩きに走っていることだ。
(ガラス瓶に金属片と火薬、という「基本を押さえてる」構成をニュースで聞いてすぐに、「まあ、ネットとかで調べたんだろう」と容易に想像がついた。)
しかしそれは手段に過ぎない。製法を知りたいという欲求がまずありきで、探す方法はいくらでもある。
ネットが普及する数年前であれば、それは本であっただろう。
さすがに学校の図書館にはソレ系の本は置いてないだろうが、大きな書店に行けばちょっと危なげなコーナーもある。また、科学の知識を勉強したり、ミリタリー系の雑誌で軍事・武器の基礎知識(実際の手榴弾や地雷の構造、何が入っているのか)を学べば、何をどれに詰めるといい具合なのかはすぐに分かる。
法律・規制の記述もヒントになる。例えば、「火炎びんの使用等の処罰に関する法律」を読めば、火炎瓶の製法が大体分かってしまうというように。
確かに、本を探すのと検索ワードを入れるという手数の圧倒的な違いはあるけれど、欲求さえあればその答えにたどり着く。到達するまでの時間が多少違うと言うだけなのに、ここぞとばかりに「だからネットは危ない…」と始まるのだ。
まあ、そういうサイトはたいてい事前策を講じて(「犯罪を扇動するのが目的ではなく、手段を知ることで被害を回避し犯罪を防止するため」などの枕文をつけるなど)いるだろうけど。

宮崎勤事件でも何でもそうだが、「いずれにせよ、やった本人に一番の非がある」はずなのに、関連したものばかりが安易に規制されたりバッシングされたりする。それはマンガでありオタク的なものであり、最近ではエロゲーだったり、まあ様々なわけだが。
光市の高校周辺のコンビニでは、早速花火が撤去されたと言う(黒色火薬のもっとも容易な入手法は、花火をほぐす事だ)し、また少年の携帯の履歴を調べて、参考にしたサイトを探してもいるという(探してどうするんだろという気もするのだが)…

「身近なもので武器を作って敵に対抗する」というシチュエーションは、アクション漫画の魅力的なシークエンスの一つである。
例えば、「パイナップルARMY」では、雑貨屋やドラッグストア、ホームセンターで手に入る材料で銃火器を作ってしまったし、「MASTERキートン」では室内の限られた物を利用して武器や爆発物などを作って自体を打破するというシーンがあった。「デュエット」ではさらにアイテム名を詳しく書き、しかも入手が容易なものが多かったため、伏せ字が使われている。
いずれも、主人公が戦闘・サバイバルのプロフェッショナルとしての力量を十分に発揮して、面白く痛快な場面を作り出しているのだが、こういった作品群も規制されてしまうのではないか、というのが目下の心配だったりする(「MASTERキートン」はそもそもそれ以外の理由で再販されない状況にあるが…)。

投稿者 zerodama : 2005年06月15日 01:01

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