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2005年07月16日
誰もいないと思っていても
これも「トラウマ絵本」スレッドでしばしば話題に上った絵本の一つ。
ハインリッヒ・ホフマンの「もじゃもじゃペーター」。
その全容は「もじゃぺーのミニ研究」に詳しいのだが、いきなり表紙から飛ばしすぎだろうコレ。
大泉洋どころか、佐藤蛾次郎までも腰を抜かすもじゃっぷり。
いくつかの短編でなる絵本だが、エピソードはいずれも、「良い子にしていないとこんな目に合いますよ」という内容ばかり。しかもトラウマ物件の大原則、「こんな目」にあった後のフォローが全然ナシ、が貫かれているところがポイントだろう。内容的にかなりブッ飛んでいるので、「キジも鳴かずば」などとちがい、大人の目で見るとつっこんで笑えるのが救いなのか何なのか。
多くの人が挙げたのが、「指しゃぶり小僧の話」だった。
いくら怒られてもいつも親指をしゃぶる男の子、コンラート。
お母さんが外出する際に、「お母さんがいないからと言って指をしゃぶってはダメ!」と釘をさされるのだが、アホの子コンラートにはぬかに釘、いなくなった瞬間に親指をしゃぶり出す。
その瞬間、ドアがバタンと開き、何の説明もなく巨大ハサミをもった「仕立て屋」が登場し、コンラートの両手親指を切り落とす(ひでー)。
お母さんが帰ってきたら、両手親指を失ったコンラートがしょんぼり立っていた。おしまい
実にこれだけ。
詳しくは前述の「ミニ研究」の紹介ページを。
ラスト、帰ってきたお母さんが何か言うわけでもなく、コンラートも泣いたりするわけでもない。
この徹底した「あっけらかん」な読後感を、読者はどうする事も出来ないのだ。
絵で見ると、コンラートがしゃぶっているのは左手の親指だけなのだが、何のためらいもなく両方を切り落とすヒットマンの非常で完璧な仕事ぶりも印象に残って洗い落とせない。
いくつか版があるのだが、こちらのページによると、ヒットマンのデザイン、集英社版が群を抜いて凶悪だ。
他にも、「とてもかなしい火遊びの話」「スープカスパーのお話」など、精神的投げっぱなしジャーマンなお話が詰めあわされている。特にこの2つは、「マッチで火遊び」「偏食(?)」という実にありがちな行動が元で、ルナ先生がチャートを立てる間も無く「死」に至っちゃうところがインパクト大だ。これを幼児の時に読んだらとんでもないインプレッションだろうなあ。
最近、親も学校も過保護すぎて、「マッチで火をつけられない子供」が増えているそうだが、その中の5%くらいは「もじゃもじゃペーター」のせいかもしれん。
投稿者 zerodama : 2005年07月16日 17:41
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