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2005年09月03日

NHK時代劇 「秘太刀 馬の骨」

金曜夜枠のNHK時代劇、特に藤沢周平モノについては「まずハズれなし」の信頼をおいているのだが、今年もやってくれました!と嬉しくなってしまうのが、「秘太刀 馬の骨」。

番宣CMを見て、
・いつもクォリティの高い藤沢もの
・我らが音尾琢真先生が全国ネットのドラマに!しかも剣豪役で!
・出演者、音楽含めて面白そう
と色々と期待して、見逃すまいぞとしっかり録画。

いやー、予想をはるかに越える面白さ、前年の「蝉しぐれ」とは全く違った趣の弾けっぷり。これはほんとに楽しい45分間だ。

正直、主役が「蝉しぐれ」と同じ内野聖陽と聞き、大好きな役者さんだし、演じ分ける実力は十二分にあるとは思うが、視聴者の方で前のイメージを引きずってしまわないかな?という不安が少しあったのだが、すっばらしい出来。都会的で大胆だがけっこうシャイでまっすぐというキャラクターを見事に演じていると思う。脇を固める役者さんも実力者揃い、しかもみんな何だかすごく楽しそうにやっている。
ストーリーのつかみは以下のような感じ。

北国の小藩(まあ例によって海坂藩ちっくな設定)。
下手人不明の6年前の家老暗殺事件に「秘太刀馬の骨」が使われ、その刺客を、今の家老・小出帯刀(62・近藤正臣)が放ったとの噂が流れる。
帯刀は疑いを晴らすため、江戸から甥の剣客・石橋銀次郎(27・内野聖陽)を呼ぶ。江戸留守居役の次男・銀次郎は国許が初めてで、近習頭取の浅沼半十郎(35・段田安則)を介添人に、「馬の骨」の使い手を探すことになる。
 「馬の骨」は不伝流の矢野道場に伝わる秘太刀だが、誰に伝授されているかは分からない。
 探索の結果、銀次郎は戦う相手を矢野道場の6人に絞る。しかし彼らは、掟で他流試合は出来ないと、立ち合いに応じない。ならばと、銀次郎は各人の触れられたくない隠し事を探り出し、「口外せぬから、立ち合え」と脅迫、強引に戦いの場に引きずり出す。更に相手が手抜きし、秘太刀の技を隠さぬよう、木刀での試合を迫り、6人の剣客と一人ずつ立ち合っていく……。

特筆すべき項目の一つに、この「殺陣」がある。
驚くほどに吹き替え・スタントが少なく、役者自身によるシーンの割合が多い。それも時代劇にありがちな「型どおり」の殺陣ではなく、矢野道場6人衆はそれぞれの得意技を生かした特色ある立ち回り、銀次郎は銀次郎で、相手をギリギリまで追い詰めるため、なりふり構わない、一種泥臭い攻めで迫る。何しろ、目的が「相手を倒す」ことではなく、あくまで「相手の奥の手を引き出し、秘太刀の継承者かどうかを見極める」ことにある(ここがものすごく新しい)のだから、ただ勝つだけではダメなのだ。今回では接近して相手の手足を極めたり、頭突きを連発するなど、従来の殺陣シーンでは考えられない動きに凄みがあった。
そして勝負が決まる時に画面に広がるビックリCG。是非ご自身の目でお確かめいただきたい。
勝負の後は、結果に関わらず、捨て身で相手の力を全て引き出した銀次郎は、当然ながら自分もそのたびに深手を負うのだった。なんて難儀な主人公。

そのほかにも、演出がかなり新しくて面白く、
・カット・場面が移り変わる度にいちいちワイプ加工などの処理がされる
 (年配の人は「落ち着かない」と思うかもしれない…)
・トンボ・ツバメなどを、あえて吊り線丸出しのパペットで飛ばしたり、テロップではなく、画面の片隅に、演芸場などで良く見られる紙をめくる看板(寄席で、芸人の名前が書いてあったりするヤツ)に季節や場面を書いたり。それを黒子にめくらせたり…と、あえて「芝居小屋」っぽい悪ノリが楽しい。

また、音楽も近藤等則の「どジャズ」が炸裂、ガチンコな殺陣シーンによくマッチしている。
またEDでは本人が顔出し(和服着用)で演奏するなど、どこまでもサービス満点だ。

まだ音尾くんの出番はないのだが、運動神経のよい彼なので、殺陣にも期待が持てそう。
ただ、NACSのなかでも芝居がデカいほうなので、テレビの中で浮かないかな…という心配があるのだが、今のところ内野氏もわりと「舞台モード」でデカめの芝居だし、舞台畑の出演者も多いし、大丈夫かもしれないなあ。

そんなこんなで、今期最必見のドラマだと思う次第。

それにしても、「好ましく思った女性が、えらい人のお手つきになって手の届かない存在になってしまう」というのは、藤沢作品主人公のデフォですなあ。

投稿者 zerodama : 2005年09月03日 16:42

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コメント

見てます!剣術バカ。お前はどこから走りこんでくるんや、と。内野、段田、六平の三男優の顔がTV画面一杯に詰まって密談しているシーンも変オモシロでした。
TVさいたまでは「R-14」が始まったばかりなので、「秘太刀~」に音尾さんが出てくるの楽しみにしてます。いままでベテラン俳優が門下生として登場しているのでこのそうそうたるメンバーに混じっているので、期待が高まります。
小劇場ファンの私にとっては六平直政さんの出番があれだけなのはつまらないですが、また出てくることを祈ってます。

投稿者 ふらここ : 2005年09月04日 22:37

追伸
セットのデザインも変ですよね。
わざと安っぽい美術にしているのか?
鈴木清順風味というのか・・・
でもこのセットに
針金のついた蜻蛉や黒子が良く馴染みます。

投稿者 ふらここ : 2005年09月04日 22:41

*ふらここさん

>変オモシロ
このドラマの良さを一言で表現した言葉だと思います。スバラシイ…
これまで「しっとり(逆を取れば地味)」「静か」「素朴」というイメージでばかり語られていた藤沢周平イメージをふっとばし、「エンターテインメント」属性をこれでもかと押し出してくれていてホントに嬉しいんですよね。

>音尾さん
「元新体操部」の身体能力はかなり高い人なので、このクセの強い殺陣ばかりの番組でどんな動きを担当したのか、とても興味があります。
「蟹頭十郎太」「Looser」などの舞台でもチャンバラ経験ありますし、期待してるところです。今度こそブレイクしてほしい!

>六平さん
とかマギーさんとか、なかなかナイスなキャスティングですよね。

投稿者 大道寺零 : 2005年09月06日 14:14

Mike 18 picture of cute boy http://www.mike-18.int.tf/

投稿者 Mike 18 cute boy pic : 2006年06月08日 05:23