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2005年09月11日

法的な意見など

「のまネコ」問題にコメントしてみたりする - 栗原潔のテクノロジー時評Ver2 [ITmedia オルタナティブ・ブログ]

知財に詳しい栗原氏のコメント。
時にはこういったニュートラルな立ち位置からの意見を読むのも、正しい知識を得るのは勿論、いい意味でのクールダウンができるという有り難さがある。
法的な問題はどこか、avexに対してどういう対応が可能なのかなども分かりやすくまとめられている。(ご多忙な身なのに、コメント欄で丁寧に疑問に答えてくださっているのには本当に頭が下がる)

いずれにせよ、モナーと「のまネコ」が類似していることを裁判官に認めてもらうことが必要になります(著作権侵害や不正競争行為が成立するためには、マネをしたという行為だけではだめで、当該物件が客観的に見て似てることが必要となります)。

そういう意味で言うと、両者が類似してると認めてもらうのはちょっと厳しい気がします。商標の実務で言うと、キャラクターというのはわりと類似の判定が甘く、ちょっとでも違ってると非類似とされるようです(まあそうしないと線画で描いたネコなんてみんな類似になってしまいますからね)。商標の審査と裁判所の認定は異なるプロセスですが、基本的考え方は同じだと思います。

もちろん、法律的に問題ないからといって、AVEXの行為がCSR的に問題ないかというとそんなことはないわけであって、少なくとも著作権をビジネスの種にしている企業としては明らかにまずいと思います。

別に煽るわけではないですが、AVEXの姿勢に反対する人ははどんどん抗議するなり、不買運動するなりやるべきだと思います(虚偽の情報を流布したり、DoS攻撃したりするのは問題ですが、正当な理由に基づいて不買運動をするのは資本主義社会における消費者の正当な権利だと思っています)。

「ZEN」について、「公示がなされていないのは法に抵触するのでは」という意見があって私もエントリー内に書いたが、著作権管理事業法施行規則第18条で定める「公示」とは

第十八条  法第十五条 の規定による管理委託契約約款及び使用料規程の公示は、継続して、次に掲げるいずれかの方法により行わなければならない。
一  事業所における掲示
二  インターネットによる公開
三  その他公衆が容易に了知しうる手段による公開

ということなので、「サイトに見当たらないので公示していない」という判断はできないとのこと。
(参考:「査察報告書」9/9のエントリー)
あとで先日分にも追記しておきます。

この一件の問題点をもう一度考えてみる。
あのFlashと「マイヤヒー」の盛り上がりが2chから発生したという経緯があり、かつ「のまネコ」「ねこトントン」と「モナー」「モララー」とのビジュアル的な相違があまりにも微細(もしくは全然認識できない)であるため、その名称が発表されるまでは、多くの人が「モナーたちが出てるアレ」とだけ認識した。
私もジャケット写真を見た第一印象は、「AAがCDジャケットに使われる時代が来るとは」だったし、表紙に大きく書いてあるのは「なんだかずいぶんとケバい『しぃ』だなあ…」と思ったのだ。

そして、「モナーも出世したなあ」などと思いながら購入した人が少なからずいたという。
この時点で相当、「ネットで既に親しまれているAAと誤認させて購入に至らしめた」という問題が発生していると思うのだが…

Amazonのレビューも、なかなか激しい事になっているが、これってかなり有効な周知手段だと思う。一般のCDショップで、「このキャラはパクリ」と書いたビラを商品の近くに貼り付けたらまず叱られる程度ですまないが、ネットショップであれば「レビュー」という合法的かつ目に触れる機会の多い手段があるのだから。
もっとも今後圧力がかかって都合の悪いレビューが削除されたりする可能性は大いにあるが…

問題の法的な分かりづらさ、対応のしづらさの一つに、「AAを含む書き込みには著作権があるが、モナーについては『著作権者』が特定できない」という点がある。
ところが、モララー(前奏でドンドン床を叩いてリズムを取っているネコのキャラクターが酷似しているAAキャラ。avex・わた側は「ねこトントン」というオリジナルキャラだとしている)については話が別で、「生みの親=著作権者」が存在している。
先日その方「まみまみ」さんもスレにコメントを書き込んでいたらしいのだが、彼女によれば、相手側からの連絡は一切なかったとのこと。

(まみまみさんのコメントについては、Wandering Wanderer: まみまみさん、再び周辺の記事に詳しいです)

しかしアレだ、この酷似と大胆すぎる言い訳。何かに似ている似ていると思ったら。
故・冬木弘道がオリジナル技としていた「冬木スペシャル」について、「どうみても川田利明のストレッチプラムだろ」と多くのファンからブーイングを受けた際に
「川田の技とは、小指の角度が違う
と言い張った一件。そうだそうだ、アレを想起してたんだ、私は。

avexの、ファンサイトに対する著作物利用のガイドラインより

■既存の著作物をアレンジして利用することについて
Q) ジャケット写真、アーティスト写真のイラスト化してオリジナルの画像を作りました。 これは使っていいですか?
A) ジャケットの写真をそのままイラスト化した程度では、もとの写真の本質的な特徴が失われないため、著作権の侵害にあたります。

「ダブルスタンダード」のものすごく分かりやすい見本として語り継がれるであろう…

投稿者 zerodama : 2005年09月11日 03:31

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