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2005年04月04日

愛地球博弁当騒動

プレオープン当初から問題になっていた「弁当持込禁止」規定。
「没収ってどうよ」「中のレストランや販売飲食物がクソ高い」「中の業者優遇(まあ実際はココなんだけども)にしてもひどいんじゃないか」などと、実際に行った人の体験談や、一方デマなども入り乱れて大問題になっていた。

色々なBlogエントリーや記事などを読んでみると、反応も様々で、中にはエキサイトのあまり思考停止の域に達してしまったものなどもいくつか見受けられた(特に子持ちの女性のBlogに目立っていたような感じがするが、小さい子供は地球上でもっとも「待つことのできない」生物だから、弁当や菓子など、期限をなだめるアイテムに関しては切実なんだろうなとも思う。)。
#家族の弁当開きが楽しい、という他にも、待ち時間を節約してパビリオンを楽しみたいとか、色々な考えのもとに「弁当」なのだろうとは思う。普段目にする小中学生のお母様方は、「この日は給食がないのでお弁当を持たせてください」なんて言った日には、大多数の型が煮しめた番茶みたいなしっぶい顔と反応をなさるので、「本当にそんなに弁当作りたいのだろうか?」と思ったりしてしまうのは私の悪い癖だ。

とりあえず箇条書きで、分かった事や思ったことをまとめてみる。

◆会場内の飲食物の値段について

これについては、「HINALOG」の「会場内の飲食物リスト」「飲食物が高い・デマに注意」が非常に分かりやすく、詳しい。
結論から言うと、「コーラが\600~、うどんが\1500」という「ボッタクリ情報」には、相当の割合でデマ・もしくは誤謬・一部だけを取り上げて一般化した情報が混じっているらしい、ということだ。
会場内の自販機・コンビニでは、市販と同じ値段(\120~150)でドリンク類が売られているし、高い店もあるが、普通の(市街地の)飲食店の相場とさほど乖離のないメニューも多い。勿論店によって高い安いはあるので、あとは行く人が事前に調べるか、見比べて購入・飲食すればよいわけだ。これはどこに行くにしたって同じかと。
(うどん\1500は、「うなどん\1500」の見間違いだとか)
セットメニューで\1000程度とか、コーヒー一杯\500とか、まあ外で飲み食いすればそんなもんかなあ、と私は思うのだが…
スキー場のレストラン(スキー場や山の場合は、食い物よりも、飲物がいまだに平気で\200~だし)とか、まして海の家の粉っぽいカレーとかぬるいラーメンに至っては(衛生面含めて)そんな次元じゃない。
この話を聞いたとき、単純に「お祭りなんだからそのくらい金落としてやればいいんじゃないか~」と思ったのだが、要するに「選択肢が極端に限られている中」だから、普段のレジャー相場なら許容できるものに対して怒りが集中しているのだろう。

◆弁当持込許可と、その品目
実に笑える経過だった。
弁当の件について多くのクレームが入ったわけだが、協会はそのクレームの多さではなく、首相の「弁当くらいいいんじゃない」という鶴の一声で弁当持込禁止はあっさり撤回された。某神社参拝の件では一個も空気読めない小泉首相だが、こういうことに関しては実に機敏な動きを見せたのだった。だからって主催者までその機敏さはどうなんだ。
むしろ、「首相だろうが天皇だろうが、食中毒のリスクを回避して安全確保に努めます」と初志を貫いたほうが、小手先と詭弁であっても「本気でやってます」ってことだけは伝わったのかもしれない。
それが、今朝の情報番組では、協会のエライさんがニコニコして
「私たちの視線では気付かなかった、よい事(本当にこう言ってた)を(「客が」、ではなく「首相が」)指摘してくださってありがたいです
とか言ってるんだものなあ。救えなさ全開。

で、結果は「手作りの弁当・おにぎりは許可。ただし保温や保冷対策をしっかりとして、生ものを入れないように」「会場外で買ったコンビニやスーパーなどの弁当・おにぎりは不許可」「アレルギーや食事療法のためのものは、診断書不要で持ち込みOK」。
これもよく分からない。
衛生面で言えば、自作弁当よりも、作製環境が整っていて(少なくとも後からのチェックがちゃんと入れられるし、給食業者は規定に従って製造物を保管し、万一の場合に提出できるようにしている)、製造日時や消費期限が明確な店売り弁当のほうが、リスク管理に対しては断然優れている筈だ。特にコンビニの弁当やおにぎり類は、消費期限までは何が何でも傷まないように、そりゃもういろいろなものが入っていることが多いわけだし。
片や自家製の弁当は、「前日買ってきた惣菜を詰める」「前日に詰めて冷蔵庫に入れておく」なんてことが日常茶飯事(人によるけど)。どう考えても趣旨に合わない。こういうロコツな足掻きがまた印象を悪くするという事が分からないんだろうか。分かってないんだろうなあ。

衛生問題をクリア、というか「食中毒が起こったときに、何が原因かハッキリさせる」だけならば、例えば

・自作弁当を持ち込む場合には、証明するカードなどを発行する
 Webでダウンロード・印刷できるようにしておき、入場時に提示すれば、いちいち弁当の中身をチェックしなくてもいいので通行もスムーズだし、アレルギーなどの特記事項も書き込んでおけば楽ではないだろうか。

・外で買った弁当を持ち込むときは、製品のシール(製造業者や日時・原料等が印刷されている)、なければレシート(どこで何時に購入したかが明確になる)を保管しておく。

・中での飲食も、レシートを保管する。

・これらのカードやレシートは3日間くらい保管しておき、体調の異常が現れたときにはすぐに参照できるようにする。持ち込み食品が原因であれば無論自己責任で対処。

こんな対策はどうだろう。万が一食中毒が発生しても、原因究明が楽でいいんじゃないかと思うのだが。
責任の所在が明確になる事で、出店者側もより衛生管理のチェックを厳しくするかもしれん。

むしろ、弁当を開ける場所を確保し(緑をテーマにしてる割にはこの辺がお粗末なわけだが)、「自作だろうが店売りだろうが、ゴミは徹底して持ち帰らせる、もしくは徹底して分別させる」というような「環境教育」をしたほうがよっぽど有意義かと。

現在の持込可・不可のボーダーラインは、結局
「タッパーなどに入っていて手作りっぽいか、店売りの包装がかかっているか」という、見た目の問題でしかない。
私が近郊の弁当屋なら、100均とかの安いタッパーに、通常売ってる品目(しかも生ものを避けて)を、いかにも手作りっぽく詰めて「これなら持ち込める!」って売り文句で販売したいところだ。容器&不可価値で700円くらい………中で食うのとあんま変わらんけど…

◆「TDLも弁当持込禁止じゃね?」
私もこれ、最初に思ったのだが、調べてみると、現在はゲート外側に「ピクニックエリア」が設けられているんですなあ(東京ディズニーリゾートFAQより)。ちなみにユニバーサルスタジオも同様。

◆ペットボトル持込不可について
これはしかたないんじゃないかと。スポーツの国際試合など、とにかくテロのターゲットになりそうなイベントでは、全面的に持ち込み不可の流れになっている。(もっともサッカーの試合などは、テロ対策のほかに、ターフに投げ込まないようにという意味合いが強い)
情報番組などでは「ペットボトルで何が持ち込めるって言うんですか?」と言ってたコメンテーターもいたが、かなりの平和ボケと言わざるを得ない。ガソリン入れて火炎瓶も作れるし、ポリカーボネイトの耐薬品性が強くない事を利用して色々できる。詳しくは書かないけども。
9.11後のアルカイダテロ予告の直後辺りは、「危機管理」「セキュリティ」の意識が高まっていたように感じたのだが、ちょっと「喉元過ぎれば」になりつつあるような。サリン事件の記憶も随分薄まってしまったようだ。
ただ、「じゃあ水筒はどうなのよ」ってことになる。
水筒は不透明・強度もあるし、気まずい液体・固体を持ち込むには最適だ(遠足に持っていくような水筒の中に核爆弾…なんてネタが「砂の薔薇」とか「ピースメーカー」にありましたなあ)。テロ対策というのなら水筒も(というか、水筒こそ)シャットアウトすべきなのに、ここでも結局馬脚を現しちゃってる(「飲物は中で買ってね」という本音)のがなんとも…
で、今の時期はまだいいが、GW~夏になったら、脱水症状で客がバタバタ倒れるんじゃないか、ということを、食中毒より先に心配して、水飲み場を増設すべきじゃないかと思うんだが。そんで100円くらいでリターナブルのスタイナーボトルでも売って、水汲み放題とか。ボトルはスターバックスのマグのように、何度でも洗って持ち込みOK(リピーターに優しい)とか。
持ち込みOKなのは紙パックの飲料とのこと。一度抜いて詰め替える、というのが比較的難しいからかな?

◆モリゾーとキッコロ
アンチ派には「キモイ」「緑のムックじゃん」ともっぱらこきおろされてるようで。ありきたりのファンシー路線よりはいいかもしれないが、すぐに忘れそう。つくば科学万博の「コスモ星丸」、名古屋デザイン博の「デポちゃん(イモ虫とか●●虫とか呼ばれて嫌う人も多かったけど私は好きだった)」のような単純明快さはないが。
デザインを見て、なぜか無条件に「ああ、久保キリコのデザインか」と思ってしまったのだが、アランジアロンゾデザインだと知って驚いた。

◆愛地球博
長々と書いては来たが、会場に足を運ぶということはないと思う。
単純に、遠さと行楽シーズンに夫婦で出かける時間が取れないというだけなのだが、山形~名古屋間を移動しても行ってみようかな、と思わせる魅力が、今のところ感じられない。行けばそれなりに楽しめるのだろうし、「実際(いろんな意味で)どうなってんのかなあ」という興味はあるのだけど。
愛知の隣県だったら行ってみたかも。今のところはそんなレベルだ。
主催者である協会の理念のなさとか、「環境」を謳っている割には会場造成・その後の利用にオソマツさが満載な点とかは、オープン以前にも報じられていたし、今回の対応を見ても興ざめする事のほうが多い。
古生物に興味があるなら、国立科学博物館に行ったほうが確実に楽しめそうだし。
義父や、実家の両親は行く予定があるらしい。「万博」の集客力はまだ健在なのだから、「エラい人から言われたら朝令暮改」ではなく、これからも開催日程は長いのだから、「改むるに憚ることなし」でやっていけば、まだまだ盛り上がる余地はあるんだろうけど…「主催者の反応を見る限りムリ」って絶望感が漂いだしてるのが一番の問題だよなあ。
実際に肌で感じた事はないのだが、この件を考えるにつけ、「'70大阪万博」は見事だったよなあ、とつくづく思う。日本全体が上り調子だったこともあるだろうが、「そこにある」だけで見事な昂揚感をプロデュースした「太陽の塔」にはじまり、三波晴夫大先生の超名曲「世界の国からこんにちは」で問答無用のハッピーをお見舞いされる。各種博覧会やオリンピックをはじめとするスポーツ大会でも、「イメージソング」が発表されるが、大抵はふやけたタイアップばかり。アレに匹敵するテーマソングはもう生まれないんだろうか?

全体に「『官』の悪しき感覚」「だからお役所は」という批判を受けがちなんだが、イマドキの「官」は、こんなにロコツで横暴なことしてたらとても勤まらん。「いい時期に引退なさった、古き悪しきエラい人の感覚」と言うのがより正確な気がする。

投稿者 zerodama : 2005年04月04日 13:32

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